サーレー
 

サレー特集
〜ガーデンをフォーカス〜

カナダの夏といえば、庭のお手入れの季節…
スーパーマーケットやデパートには、ガーデンセンターも設置されました。
そこで今回は地域の園芸・庭園にスポットを当ててみました。

ガーデナー 岡田 伸平さん
電 604-583-6499

 
キラリ個性が光る庭造り
ガーデナー 岡田 伸平さん

 いつか海外に出てみたいという思いから、岡田さんは東京にある某進学学校から東京農大に進学。もともと、ガーデナーを目指していたわけでなく選んだ専攻は「農業拓殖科」(現・国際農業開発学科)で土地の開墾などについて学んだ。やがて派遣実習のため、オンタリオのファームで一年を過ごした時の思い出が、いつしか「カナダに住みたい」という夢になっていった。

体で学んだガーデニング技術
 大学卒業後、花屋に就職した岡田さんが学んだのは、フラワーアレンジメントと日本の生け花。配色のバランスや、花や木の基礎知識などが、後日役立つことになったわけだが、実はこの時点ではまだガーデニングの仕事をするとは思ってもみなかった。その後、大学時代の先輩の誘いを受けて、アルバータへと渡り、約三年間のマッシュルーム作りを経て、いよいよカナダでのガーデナー修行が始まった。ガーデナーとしてスタートした頃は、支払いを踏み倒されたりしたこともこともあったという。しかしこれらの苦い体験が今の岡田さんを育ててくれた。

大切なのは感性を磨くこと
 岡田さんは常日頃から、気になる風景や目に止まった場所などがあると写真に収めるようにしている。私たち素人でも、普段通る町並みの風景や雑誌などからヒントを得て、まず「夢」を持つことが、素敵な庭作りの第一歩になると語る。岡田さんが作り上げる庭は規模の違いや、家族構成などの条件は違うが、必ずどこかにほっとさせるスポットがあるのが特徴だ。それらは心を潤す水の流れる音や、ユニークな刈り込みの樹木だったり、さり気なくおかれた岩など。うっかりすると見落としそうなところにも心を配っている。そんな安らぎを与えてくれる庭造りを、オーナー達との会話の中から作り上げていくのが、岡田さん流である。それは、単なる造園ではなく、まるでアートのようでもある。岡田さんが手がけた数ある庭から、いくつかの作品をご紹介したい。

Jim Clarkeさん宅
超豪華600匹の錦鯉が戯れる日本庭園

 サレーの郊外、農牧地帯が広がる丘陵地にJimさんのお宅がある。まるで森の中に迷い込んだような高い針葉樹が生い茂り、入り口からは中をうかがい知ることができない。敷地内に入ると心地良い水の調べが、どこからともなく聞こえてくる。緩やかな斜面を流れ落ちる川と池のデザインや施工は、ガーデナーである岡田さんたちの手による。とても人工の物とは思えないほど、しっくりと風景に溶け込んでいるのは年月を経てきたことと、行き届いた手入れをされてきた賜物だ。また、コケの生えた岩から滑り落ちる水、そしてその水が注がれる大小さまざまな池の中で戯れる、色とりどりの錦鯉たち、その優美な姿は実に圧巻だ。
 当家のオーナー、Jimさんと岡田さんのお付き合いが始まったのは20数年前に遡る。当時、Jimさんが知り合いの日本人に見せられた錦鯉に魅了され、それまで飼っていたトラウトから錦鯉への飼育へと切り替えた。そこで、知人の紹介で知り合ったJimさんと岡田さんは、意気投合。錦鯉のための日本庭園大計画が持ち上がったわけだ。約1年かけて行われた大プロジェクトの末、完成した日本庭園は、母屋のログハウスをバックに今だかつて見たことのない、個性的なカナダ風日本庭園に仕上がった。純日本庭園ではお目にかかれない北米特有の木々や南米産の植物なども取り混ぜた個性的な庭園だ。日頃は市内でガソリンスタンドや自動車工場の経営に多忙なJimさんだが、自宅に戻ってこの庭を散策し、錦鯉を眺めるのが何よりも楽しみだそうだ。そんなJimさんの庭園の噂をどこからともなく聞きつけて、地元放送局の『Home & Garden』が取り上げたり、ウェディングの写真撮影に利用する人たちや、見学を希望する人が後を絶たないという。
藤たなの下にかかるアーチ型の橋。日本人にはお馴染みの風景もカナダ人には特別なもの
オーナーのJimさんは錦鯉の話になると止まらない

Choeさん宅

さりげない工夫に真似したくなる庭
 まだ真新しいChoeさん宅は、ご夫婦と小さな二人のお子さんがいる。「プライバシーが保てて、パティオ風に」というのがご家族の希望で、プランを立てた時に、Choeさん夫婦の話を聞きながら、「岡田さんがスケッチして、構想をより具体的に見せてくれたのが、大変分かりやすかった」と奥様は語る。こうして出来上がった庭は、敷地横の小道を生垣でカバーし、ベンチの後ろには、日本でも今流行りのラティスフェンスを立てかけた。スペースとしては決して広くないのだが、念願のパティオにご主人も大満足のようだ。また、ベンチの下に敷かれた石の合間には、よく見るとビー玉やカラータイルが埋め込まれている。こういった遊び心があるのも岡田流だ。また、そのベンチの傍らには、丸くえぐられたような形の石がオブジェのように置かれている。けっして、日本庭園ではないのだが、どこか和の風合いを感じさせるような、味わいのある庭造りだ。ユニークな庭は近所でも評判で、見学に来る人もよくいるのだとか。今後は、バックヤードの造園も思案中で、どんな庭ができるのか今から楽しみだそうだ。
右手にある窓から見える景色も考えて作られている

Walter Fornsselrさん宅
魂の宿る癒しの庭
 サレーの南、シニアの方たちが暮らすコンプレックスの一角。家のスタイルはどれも同じなのに、Walterさんのお宅のフェンスから覗く木だけが、ポコポコと丸く刈られた枝が何本も突き出ている。それだけではない、中に入ってさらに驚いたのは、庭の奥の小高くなった上部に障子のライトが照らされていた。もちろん本物の障子ではないが、白地に黒の格子を施した特注ライトは、まるで、その奥に日本家屋が続いているかのように、奥行きを感じさせる代物だ。実はこのアイディアはご主人のWalterさんが考えた。冬の間に色々なアイディアを考えて、春の訪れとともに岡田さんにあれこれ相談して、作り上げて来たのがこの庭だ。中でも一番のお気に入りは「Frozen Frame Candle」と名づけた縦長の岩だ。ライトアップされ、夕闇に浮かんだ姿は、まるで人がたたずんでいるかのように幻想的だ。特に、この岩をこよなく愛するWalterさんは、いつしかこの岩に、亡くなった身内の魂が宿っているかのように、思い出を重ねているようだ。この岩の前に座って過ごす時間が今のWalterさんにとってはかけがえのないひとときようだ。

「Frozen Frame Candle」をながめるWalterさん
写真内に見える格子がオリジナルの障子ライト

ガーデンセンター Art Knapp

 King George Hwy. をひたすら南に向かって走ると、やがて町並みの景色が一変する。野鳥のサンクチュアリで有名なマッドベイと馬たちが放牧された草原が広がる。この、のどかで何もないところに突如、現れるのが『Art Knapp』ガーデンセンターだ。オーナー別のチェーン店なので、同名のガーデンセンターをあちらこちらで見かけたこともあるのでは? しかし、こちらの『Art Knapp』は他店とは違ってかなりユニークで、わざわざ足を運んでも価値があるほど見ごたえバッチリだ。

■当店の一番ホットなコーナーはこちら
 一見、何の変哲もないガーデンセンターのようだが、実はそんじょそこらのガーデンセンターでは、お目にかかれないようなものが沢山置かれている。まずは入って右手にある「ホットスパイス」のコーナー。
 そもそも、ホットスパイス好きオーナーのLonnie さんとスパイスのコレクションをされていた弟さんが、「お店にも置いてみては」と思ったことから始めたそうだ。世界中から集められた約480種類ものホットスパイスが所狭しと置かれている。2年前にスタートしたコーナーだが、ガーデニングとは関係ないにもかかわらず、キュートな容器のデザインを楽しむ人、辛い物好きな人などお客さんの反応も上々だそうだ。

鉄道ジオラマをバックにオーナーのLouuieさん。スケールの大きなガーデンセンターだ。
ホットスパイスはこの右手にもまだまだ沢山おかれている

■カナダならではのガーデニンググッズ
 さらに、店内奥へと進むとおもちゃ売り場のようなコーナーに出会う。ここは、『ミニチュアトレインコーナー』。精巧に作られた本物そっくりのミニチュアトレインやグッズが所狭しと置かれている。自宅の庭を実際の風景のように見立てて、そこを走らせるための機関車や、駅、鉄橋、ありとあらゆる模型が揃っており、鉄道マニアにはたまらないだろう。驚くのはこれだけじゃない。屋外に出て、色とりどりの花や木々の間を通り抜けていくと、先ほどのミニチュアトレインが実際に走っているではないか! 山あり、谷あり、湖ありの中を駆け抜けて行く汽車たちや鉄道員たちの人形もあって、臨場感たっぷり。鉄道ジオラマは、マニアでなくてもしばし釘付けになってしまいそうだ。
 その他、錦鯉のコーナーやウサギや鳥などの小動物も取り扱っており、孔雀などは放し飼いで店内を歩き回っているので、くれぐれも驚かないように。今後も何か面白い物をどんどん取り入れていきたいと意欲満々のLonnieさんが最近始めたのがカイトの販売。さらに、今後は家具なども販売する予定。来るたびに新しい出会いがありそうなユニークなガーデンセンターに、あなたも出掛けてみてはどうだろう。

Art Knapp
住  4391 King George Hwy. Surrey, BC V3S 0L2
電 604-596-9201 F 604-596-9240

 
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