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自分と向き合う大切さについて

日本人にはお馴染みの言葉 1 禅。自分を見失った時、ふと「座禅にでも行ってみようかな」と考えたことがあるのでは?
 禅との出会いで人生を変えたカナダ人、Kim Hoben Hansenさんにお話を伺った。


North Shore Zendo
Kim Hoben Hansenさん

12年前からバンクーバーで禅仏教の修行を始め、現在はGreat Vow Zen Monasteryの傘下、在家の禅指導者として活動している。弁護士の顔も持ち、プライベートでは夫であり父でもある。禅を知り、実行することによって、以前よりずっと幸せになった人間、と自分を表現する。

 ノースバンクーバーの自宅に、座禅のための禅堂を作ってしまったほど禅に入れ込むKimさん。小さい頃から「人間とは? 人生の意味とは?」、そんな大きな疑問に興味を持つ子供だった。悪戯好きな多感な青年に成長した10代の半ば、ヒッチハイクで乗った車の座席にたまたまあった本を読んで出会った禅。面白い、と思ったが、まだ実践してみる気にはならなかった。
そんな彼と禅との劇的な再会は95年。弁護士となった彼だが、当時は精神的に疲れ、人生が崩壊しそうな感覚に襲われていたという。長期の休暇を取り自分を見つめていた時、偶然に奥さんが持ち帰った雑誌の小さな記事が目に留まる。ニューヨークにある禅僧院の情報。ピンと来た。すぐに行ってみることにした。「乾いた喉に水が与えられたという感じ。まさに自分の求めていたものが、そこにありました」。Kimさんの禅修行はそこから始まった。
 「修行を始めた頃の自分を思い出すと、別人のような気がします」。もの静かで思索的な今のKimさんからは想像もできないが、当時の彼は、怒りに満ちたアグレッシブな男だったそうだ。北米に禅を広めた著名な前角博雄(まえずみはくゆう)老師の直弟子にあたるChozen Bays老師につき、この一派に特有の臨済宗と曹洞宗の両方の良さを凝縮した禅の実践に親しんだ。次第に心がオープンになり、人生が居心地良く感じられるようになった。「今でもうっかりすると、あの攻撃的な男が顔を出すこともありますが」と穏やかに笑うKimさん。のめり込みすぎるほど修行が大好きだ。
 「禅に魅了された人たちは、自分の深い部分の何かが変わる体験をします」。禅によって何かを「得る」のではなく、むしろ「失う」ことを学ぶ。別離、疎外、孤独、苦痛といった感情体験を解き放つことを学ぶと、心は別のレベルに到達する。何にでも打ち込み、全てに感謝できる境地。苦しい時も楽しい時も、どちらもOKという人生肯定。快楽追求とは全く別の意味での、調和の取れた「幸せ」が訪れるのだという。
 CoCo読者へのメッセージは一言「注意を払うこと」。身の回りのことに常に細心の注意を払えば、全ては自然と解決される、とKimさん。究極的には、シンプルなことの実践に行き着くという禅。自分の生活に注意を払い、生活要素の一つひとつに打ち込み、集中する。そんな実践の中で、次第に自分が変わってくるそうだ。お米を研ぎながら、掃除機をかけながら、自分と向き合う。忙しさに紛れ、つい忘れがちな日常の大切さ。自分と向き合うチャンスは意外と身近なところに隠れていることを、禅は教えてくれているようだ。

 
   
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