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二酸化炭素の上昇率を下げるために、今後、必要不可欠とされていた原子力発電。しかし、3月11日の福島第一原発の事故により、世界中が原子力発電の安全性に疑問を持ち始めた。今回の事故は、人災であることは政府も認めている。原発の安全神話が崩れた今、私たちはエネルギー問題とどのように向き合えばいいのだろうか?

文 瀬戸波音 原京子 編集部
 2009年9月、気候変動枠組条約締約国会議において、鳩山元首相が2020年までに1990年比で、25%のCO2削減を表明した。狭い国土の上、周りを海に囲まれた日本において、エネルギーの低炭素化を考える上で、もっとも重要であると考えられていた原子力発電事業であるが、日本の原発稼動率は、2009年度でも68%と、先進国の中で最も低い数字となっている。低稼動の理由は、相次ぐ地震や災害で稼動停止を余儀なくされてきたという背景がある。そして、運命の3月11日。福島第一発電所の事故は、想定外の災害であるにしても、不適切な初動対処などが原因で、自然災害転じて人災と論じられている。福島原発の事故後、政府の原発安全対策の見直しなどで、日本中の原発が点検停止を実施、5月10日から夏ごろまでに、54基の原発のうち19基程度しか稼動できない見通しとなっており、電力不足は必至と言える。
 原発事故が起こるたびに、世界中で議論されてきた原発の是非。オーストリアやイタリアは原発に対して国民投票を行った。その結果、オーストリアでは完全廃止に至った。イタリアでは廃止に傾いたが、大規模な停電が発生したのち、世論が分散し結論には至っていない。世界中で人々は判断に迷っている。人口の増加と途上国の経済発展による必要エネルギーの増加。地球温暖化対策のための低炭素化の必要性。再生可能エネルギーの模索と研究など、私たちももっと真剣にこの問題と向き合わなくてはならない時期にきている。
 経済成長と地球環境と、安全な生活環境。すべてがイコールにならないならば、私たちは何を選択すべきなのだろうか? 今回の事故を踏まえて、私たち一人ひとりが自ら消費するエネルギーに対して、もっと注意を払い、その未来に対して建設的な決定が下せるようにしたいものだ。子孫が暮らす未来の環境は、今、私たちの手に委ねられている。政府を批判するだけでなく、一人ひとりが自らを戒め、世界中の人が安全に暮らせる地球環境を守る上で、何をすべきかを考えてみたいと思う。
福島原発事故のあらましと
事故の大きさ



 2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震後の津波により、東京電力福島第一原子力発電所で、炉心溶融事故が発生し、多量の放射性物質が外部環境に放出された。この事故で1、2、3号機においてメルトダウンが確認され、1、3、4号機では、水素爆発が起こった。そして、日本初となる原子力緊急事態宣言が発令され、3月12日に20km圏内住民に避難命令、3月25日に20〜30km圏内住民に自主避難命令が出された。4月12日、経済産業省原子力安全・保安院は国際評価尺度 (INES) の暫定評価を「レベル7」にすると発表した。この基準はチェルノブイリ事故と同じ評価に値する。この事故により、放射能の地域汚染の他、汚染水流出による海への汚染拡大も懸念されている。また、福島地域以外の地域においても、農作物や海産物から放射性物質が検出され、国内外で風評被害も起こっている。



 
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